（前回のあらすじ）大学紛争の影響で人数が減っていき、練習でとうとう10人を切るまでになったロータス。「解散」の意見も出る中、恥を忍んで演奏会を完遂することを決意し、復活への道を歩み始める。
創立２０周年
復活を遂げたロータスは、70人近くを有する合唱団になり、1980年（20期）に20周年を迎えた。20期指揮者の鈴木は、6月15日に岡山市民会館で行われた岡山県合唱フェスティバルで民謡「おてもやん」を演奏した。演奏終了とともに最後の音がホール内に反響し、その迫力に会場がどよめいた。第20回定期演奏会の客演指揮を依頼した近藤安个先生は、この時の音を聞かれて快諾していただいた。
この年は、夏にふたつの合同演奏会を開催している。大阪大学男声合唱団を岡山に迎えてJoint in Okayamaを開催(三木記念ホール、1980.6.22)し、さらに京都に遠征して京都大学男声合唱団とジョイントコンサート(京都会館、1980.7.15)を開催している。
京都大学男声合唱団とジョイントコンサート(1980.7.15）客演指揮 佐々木日出夫（京都会館）
京都遠征では、疲れと緊張から納得いく演奏ができなかったが、演奏後の打ち上げは、ロータスメン全員が「花火」を踊り、打ち上げはロータスが牽引した。
第20回定期演奏会は、20周年を記念して客演指揮者に近藤先生をお迎えし、さらにＯＢステージを含めた５ステージ構成となった。
第20回記念定期演奏会(1981.1.0） 第１ステージ「アイヌのウポポ」 （岡山市民会館）
第１ステージは、鈴木が「アイヌのウポポ」を演奏した。
第２ステージは、常任指揮者の上月（第10期指揮者）自らが作曲した男声合唱曲「宮沢賢治の詩から（昭和55年度委嘱作品）」を演奏した。ロータスを熟知した上月の曲は、独特な言葉使いと世界観、ユーモアを感じさせる素朴な詩がロータスの個性にぴったり合致していた。
第20回記念定期演奏会OB合唱団 （パンフレットから）
第3ステージのＯＢステージでは、初代指揮者武内による老練巧みな指揮と、重量感のある低音による演奏で男声合唱の醍醐味が感じられた。
第20回記念定期演奏会(1981.1.0） 第４ステージ「THE STUDENT PRINCE」 客演指揮 近藤安个 ピアノ 大池真理子（岡山市民会館）
第4ステージは、客演指揮者にお迎えした近藤先生による「THE STUDENT PRINCE（学生王子）」だった。この時期のロータスは先生のご指導で大きく力を引き上げていただいており、近藤先生が指揮台に立たれただけで緊張感が走り、普段の倍の音が出ていた。先生の高いレベルのご指導に追いつかず、大池真理子先生、藤本邦子先生のピアノに随分助けられた。
なお、第4ステージで伴奏していただいた大池先生は、このときロータスでの初ステージとなった。第55回記念定期演奏会（2016.1.16）までの毎年の定期演奏会はもちろんジョイントコンサートも含めて36年間にわたりロータスの伴奏をしていただくことになる。
最終の第5ステージは、大中恩作曲の「島よ」を鈴木が振った。この楽曲もウポポ同様、身の丈を超えた難曲で、作曲者の描く大きな物語には一歩も近づけることはできなかったが、団員全員が、挑戦し、力を出し切ることはできた。
※1980年 モスクワオリンピック（日本不参加）、イラン・イラク戦争勃発
第７回「JESUS」に続く
