(前回のあらすじ)これまで留年や大学院に進学した5年生以上のロータスメンが大きな力となっていたが、このころから4年の活動をもって卒部する流れに変化していく。こうして、ロータスは徐々に人数を減らしていくことになる。2011年度、40期OBの西山が常任指揮者に、8期OBの上月が名誉指揮者に就任しロータスは大きな転換点を迎えた。

新型コロナウイルスの猛威
コロナ禍の始まり
2020年(令和2年、60期)は、ロータス60周年を迎える輝かしい年になるはずだった。しかし、2019年12月に中国で初めて確認された新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に広がった。日本でも2月に入って感染が拡大した。日本の小学校、中学校、高等学校等は3/2から春季休業前まですべて休校となった。その後、緊急事態宣言が発令され、東京オリンピックは1年延期、甲子園大会など各種大会も軒並み中止されるなど世界中がコロナウイルスに翻弄される年になる。
日常は、すべての人がマスクを付けて生活するという異常な世界に変わっていった。マスクを付けていないと犯罪者扱いされかねない時代だった。電車内で会話をしていると知らない人に怒られたり、マスクをしていないとマスクを付けるよう指摘されるギスギスしたいやな日常だった。ドアノブすら定期的に消毒され、人との会話も憚れ、人との接触を避けることが常識になっていた。感染者が出ると部屋中の机や椅子なども徹底的に消毒された。こうした当時の常識は、コロナ禍を経験していない人たちには理解できないだろう。特にコロナ初期は、様々なことで厳しい制限が課せられることが当たり前だった。
新型コロナ感染症は、口や鼻から発せられる飛沫によって感染することが多かったため、合唱などもってのほかだった。当初はマスクをして歌うことすら許されなかった。世界の合唱団は存亡の危機に立たされていた。
日本で最初にコロナウイルスが流行し始めた3月、ロータスは春合宿のさなかだった。例年どおり閑谷学校(合宿所)で行っていたが、たまたま岡山理科大学クリスタルコール部の合宿と重なっていたので、交流を期待していた。しかし、岡山理科大学の要請によりクリスタルコール部が春合宿を中止したため、交流も叶わずロータス貸切状態という寂しい合宿になってしまった。
OB会は、ロータス創立60周年を記念して、2020年7月に創立60周年記念演奏会を計画していた。演奏会に向けて2019年秋から練習を始めていたが、コロナウイルスの流行により2月の練習を最後に活動を休止し、新型コロナウイルス感染症が収まるまで演奏会を当面延期することとした。
流行当初は、夏になればコロナ禍はすぐに収まるだろうと多くの人が楽観視していた。
定期演奏会の無観客開催(コロナ禍1年目)
第60回定期演奏会(2021.1.24) 金光ホール(津島キャンパス内)
春合宿を終えると、岡山大学は、6月まで「正課外活動禁止期間」となった。正課外活動禁止期間中は、学内でクラブ活動が禁止され、許可がないとBOX(部室)にも入ることができなかった。なお、この期間に活動すると校友会から除籍されるという厳しい規則だった。
授業もオンライン講義が原則となり、新入生の多くはクラブの勧誘どころか先輩たちと知り合う機会もないまま一年が過ぎていった。
ロータスはもちろん、すべてのクラブは、新歓活動のすべてをオンラインで行うしかなかった。男しかいないロータスの新歓活動は、マイナスからスタートすると言っても過言ではない。これまで60年間、あの手この手で新歓活動を頑張ってきたが、対面で新歓活動ができないことには、いかんともし難い。twitter(現X)で宣伝し、慣れないZoomを使いながらオンラインゲームで新入生との交流を図ったが、新入生はほとんど来なかった。しかし、毎回のように参加してくれた新入生が1人だけ入部した。のちの62期部長となる徐だった。
※新歓後に入部したものを含めて62期は最終的に3人になった。
コロナ禍では、新歓どころか、ロータスの活動もままならない状態だった。BOXで歌う以前に集まることすらできなかった。こんな状態でまともな合唱ができるわけがない。そして、2020年度の第73回岡山県合唱コンクールは中止となり、毎年10月に開催されていたOSCA交歓演奏会も中止に至った。
この演奏会は、岡山県学生合唱連盟に加盟する大学合唱団(下記参照)が一堂に会して演奏し、合同演奏も行っていた。これまで各団を越えて親密に交流していたが、コロナ禍以降は中止されている。しかし、2025年度に復活して開催される予定となっている。
- 岡山大学グリークラブ(混声)
- 岡山理科大学クリスタルコール部
- 川崎医療福祉大学合唱団ちょらす
- 川崎医科大学 混声合唱団フェッセル
- 就実大学就実短期大学グリークラブ
- 岡山大学男声合唱団コール・ロータス
その後、落ち着いたかに見えたコロナ禍であったが、冬を迎える頃に再び感染者数が増加に転じた。第3波だった。コロナの波は、収束したかに見えると再び感染者数が増加に転じ、前回の波より感染者が一段と増えるが、重症者は減っていくという傾向だった。12月下旬から1月上旬にかけて、岡山大学では正課外活動が再び禁止された。
2021年1月に開催するロータス創立60周年の節目となる第60回定期演奏会は、例年どおり5年に一度の記念定期演奏会として、現役ステージに加えてOBステージを計画していた。しかし、OB会は、2020年7月の創立60周年記念演奏会をコロナ禍が収束するまで無期限に延期し、第60回定期演奏会のOBステージも中止することを決めていた。
第60回定期演奏会は、コロナ禍によりOBステージはおろか演奏会自体の開催も危ぶまれることになったが、2021年1月24日に金光ホール(津島キャンパス内)で史上初めて無観客で開催されるに至った。
60周年の節目を記念し盛大に開催する予定だった第60回定期演奏会で観客がいない中でマスクを付けたまま歌うロータスメン。指揮者すらマスクをしている。この年は、演奏会を開催できただけでも幸せだったのかもしれないが、練習はおろかBOXに集まることさえも制限された辛い1年を締めくくる演奏会だった。しかし、ロータスにとって、辛い時代はまだ続く。
※2020年 新型コロナウイルス、緊急事態宣言、アベノマスク、GoToトラベル、GoToイート、ソーシャルディスタンス、リモート飲み会、5人以上の飲食自粛、三密
コンクール出場と定期演奏会の中止(コロナ禍2年目)
2021年(令和3年、61期)4月、コロナ禍で2年目となる新歓は、最初の1週間だけ対面で活動できた。その後、再び6月まで正課外活動禁止となった。
この年は、新歓プロモーションビデオ(新歓PV)を作成して新歓に挑み、昨年度と同様にTwitterとZoomを使いながらオンラインゲームで新入生との交流を図ったが、この年も新入生はほとんど来ることがなかった。毎回のように参加してくれた新入生が1人だけ入部した。のちの63期部長となる田中だった。
※新歓後に入部したものを含めて63期は最終的に2人になった。
コロナ禍も1年が経過すると、世の中もコロナありきの生活が日常となっていた。8月にコロナ禍の中で初めて第74回岡山県合唱コンクールコンクールが、マスクの着用を義務づけられ無観客で開催された。演奏団体も含めて、他団の演奏を聴くことができなかったため、審査結果の発表前に各団が客席で演奏することもなく、寂しさを感じるコンクールになった。
しかし、ロータスは、このコンクールで銀賞を獲得し、1979年(昭和54年、19期)以来42年ぶりに中国合唱コンクールに駒を進めることになった。※2011年(平成23年、51期)に中国合唱コンクールに出場を決めるも辞退している。
中国合唱コンクールは9月に鳥取で開催されることになったが、再び正課外活動が禁止され出場を辞退しなければならなくなった。しかし、中国コンクールは音源審査に変更され、ロータスにとっては不幸中の幸いとなり、鳥取へ行かずとも出場することが可能になった。ロータスは、県コンクールの音源をそのまま中国コンクールで使用して大会に挑んだ。結果は銅賞だった。
その後、ロータスは、2022年1月30日に開催する第61回定期演奏会に向けて練習を続けていたが、再びコロナウイルスが流行した。第6波だった。このため、3月まで正課外活動禁止となった。大学との交渉は実を結ばず、第61回定期演奏会は史上初めて中止することになった。

61期指揮者笹野(3年生)は、4年生でも62期指揮者を務め、この年の通年曲「わがふるき日のうた」は翌年に持ち越すことになった。
この年、卒部生もいたが、正課外活動禁止期間中だったため追い出しコンパを開催することもできなかった。辛い記憶である。しかし、ロータスは、過去2年の新歓活動で1人ずつしか入部させることができなかったため、翌年の新歓の準備に全力を注いだ。
※2021年 新型コロナワクチン接種開始、東京オリンピック無観客開催、大谷翔平満票でMVP
2年ぶりの定期演奏会の有観客開催(コロナ禍3年目)
第62回定期演奏会(2023.2.5) 岡山市立西大寺公民館大ホール
2022年(令和4年、62期)4月、ようやくコロナ禍の収まりを感じ始めたころ、3年ぶりに1か月間まるまる対面して新歓活動をすることができた。
全自動麻雀卓がとくに好評だった。この麻雀卓は、過去の先輩がコツコツと貯金して買ったものだった。実際は、前向きに貯金したものではなく負けた人が貯金するシステムだったらしい。全自動麻雀卓の力も借り、この年は新歓活動に成功して7人の新入生が入部することになった。
新歓活動の強力な武器となったこの麻雀卓もこの翌年故障し、2024年春にOB会から2代目麻雀卓が贈られている。

8月の岡山県合唱コンクールは、「有観客」で通常開催されることになった。ロータスは、金賞を獲得して2年連続で中国合唱コンクールに駒を進めた。
9月、中国合唱コンクールはホームの岡山県で開催された。銅賞という結果になったが、コロナ禍前と同じように観客の前で歌うことができ、合唱の楽しさを存分に味わうことができた。
年が明けて2023年2月5日、3年ぶりに「有観客」で第62回定期演奏会を”通常”開催することができた。お客様をお呼びし、練習の成果を発揮できる幸せを噛み締めた。この日は、日曜日かつ西大寺での演奏会だったにも関わらず、多くのOBがコロナ禍を乗り越え逞しさを身に付けたロータスに会うために遠方からも駆けつけた。
ロータスメンは、BOXに集まり、練習し、演奏会を開催するというこれまで当たり前にできていたことができなくなった辛く長い時代をようやく乗り越えることができた。コロナ禍により、多くのクラブが消滅したが、ロータスはなんとか踏みとどまった。
※2022年 コロナ禍長期化、安倍元首相銃撃、ロシアのウクライナ侵攻、岡山城天守閣令和の大改修
※2023年 ジャニーズ問題、ビッグモーター不正請求、イスラエル・ハマス軍事衝突、岡山芸術創造劇場ハレノワ開館
おわりに
2024年、ロータスは創立64年目を迎えた。これまで、学生運動やコロナ禍という大きな荒波を乗り越えて歌い続けてきた。特にコロナ禍は、ロータス史上最大の危機だった。最大の危機を乗り越えたとはいえ、まだその傷は癒えていない。今後も別の壁が待ち受けていることだろう。これからも数多くの壁を乗り越え、まだ見ぬ明日へロータスは進んでいく。
頑張れ、ロータス!総勢500人を超えるロータスメンが見守り、応援している!
今回をもってロータス物語はひとまず締めくくります。この続きは2024年7月21日の岡山シンフォニーホールで開催された創立60周年記念演奏会です。

※2024年 能登半島地震、パリオリンピック、ロータス創立60周年記念演奏会開催
ロータスの活躍はまだまだ続く

